■ 深淵

知ってる

全部じゃないけど

世の中は辛い事があるって

誰も助けてくれない

だから、生きていくには強さがいるんだ

でも

誰かを絶望させてまで生きたいなんて思えないんだ

それが

きっと甘さっていうことなんだろうな

「自分さえよければ」

みんな、心のどこかで思ってるんだ

それが行動として表れているのを見た時に

俺は殺意に近い感情を抱くんだ

■ 優しい時間

優しい時間っていうドラマがあったんだ

それがすごく好きでさ

優しい時間ってすごく良い言葉だと思ったんだ

俺にはなかったから、羨ましかった

揚げ足を取るような気分にならなくて

純粋に良い言葉だと思ったし

雰囲気もすごく好きだった

俺もいつか喫茶店をやろうかな

そこで、ゆっくりと余生を過ごすのも良いかもしれない

その前に死なない覚悟を決めなければならないな

■ 俺は…

俺はやっぱりセックスが好きじゃない

あの本能だけの時間が、苦痛で仕方がない

解離するんだよ

あの感覚は

自分が離れていくんだ

心が切り裂かれていくんだ

だから

俺は嫌いなんだよ

男らしくなくて結構

精神を売ってまで、俺はやりたいとは思わない　　

■ 仄暗い

見える世界は灰色で

何もかもが生気がなくて

まるで廃墟を彷徨っているかのような感覚で

でも、俺は生きていると感じたくて

必死になって人形に話しかけ

置物に心を込めた

それがどんなに無駄だとしても

俺にはそれしかなかった

選ぶ権利なんてあるはずもなかった

■ さえさん

嘘なのかな…

なんで、嘘を言うのかな

確かに俺は頑張って生きてる

頑張らないと、すぐに境界線を越えそうだと思う

でも

貴方もそうなの？

それとも、俺が疑い過ぎているのか？

なんでだよ

どうして嘘を言うんだ

その顔で、声で、目で嘘を言わないでくれよ

俺は信じるしかないんだから